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人材採用もグローバルに:グローバルサイトの可能性 第6回

 


ある日の朝、小野が出社すると、玄関前に東南アジア系の男性が立っていた。
その男性は小野に気づくと顔がパッと明るくなった。
「小野サン、ですね?私、ベトナムから来たクオンです。YouTube観ました。ぜひ一度、工場を見学させてください。」
さっそく社長に引き合わせたところ、日本で技術を習得して、将来ベトナムで事業を興したいという夢があることをつたないが熱い言葉で語った。社長はその姿勢が気に入ったみたいで、思い切ったようにこう言った。
「オレもやる気のある外国人を雇って、自分も新しい発想に触れたりしたかったんだよ。
よかったら、ウチでインターン生として働くか?」
自分がグローバルに発信したムービーが予想もしない方向へ展開したことで、小野は改めてインターネットのチカラを実感した。
(続く)


 

採用情報こそ“誇り”のコミュニケーションを

海外の安い労働力の獲得や成長し続けるマーケットの開拓を目指して、日本企業の海外展開が進んでいます。その中で、海外に進出した日本企業が抱える主な課題は人材の採用や育成だと言われています。

アジア圏だけで見ても、日本よりも豊かで高い報酬が期待できそうな国は増えています。技術力が同水準にある場合、単に日本企業だからというだけで働く魅力はアピールできるはずもありません。企業独自の“誇り”あふれる独自のメッセージ発信が必要でしょう。

そうした発信の場としてグローバルサイトは、国内と同様にインターネットによる情報提供や応募へのきっかけづくりにおいて有効に機能します

 

ファーストリテイリングは、海外展開を強化するために1,500 人規模の新卒採用に対して半分から8 割を外国人とし、3~5 年後に東京本部の社員の半数を外国人にする計画を立てている日本を代表するグローバル企業です。

事例:ファーストリテイリング
UNIQRO

一般的に採用情報は熱いメッセージを発信することになりがちですが、ファーストリテイリングの場合はファッションの持つ可能性を踏まえた、以下のような“誇り”のメッセージに満ちあふれています。

  • 服を変え、常識を変え、世界を変えていく
  • いっしょに世界を変えていきたい。経営者を志すあなたと。
  • どの国でも、誰でも、可能性は無限大。

これらのメッセージは「2020年に世界一のアパレル製造小売業になる」というゴールを社員全員が共有し、そのために何をするべきか、どんな人に来て欲しいか、という視点で構成されている部分が、他の採用情報サイトの“熱さ”と根本的に違うところです。

 

ポイントはキャリアパスへの理解促進

ファーストリテイリングのように、日本人向けに海外への雄飛を呼びかける例はありますが、一般的にグローバルサイトで採用情報を発信する場合、以下のように現地在住の方を現地の拠点の募集に応募していただく形になります。

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働く企業を選ぶ立場に立てば、様々な選択ポイントがあります。

  • 働くステータス性があり、自分の希望する仕事内容に就けるか
  • 魅力ある賃金や正当な評価をしてもらえ、安定して雇用してもらえるか
  • 希望する勤務地で、適切な勤務時間や休日があるか など

こうした中で現地企業への応募と決定的に違う点は、応募者にとって外国の異文化を持つ企業で働くことになる点です。したがってグローバルサイトで採用情報を発信する場合は、実際に入社した後にどのように自分の能力が活かされ、成長し、やりがいのあるポジションや高い報酬に恵まれるのかをクリアにする必要があります。

 

ダウケミカルのグローバルサイトで見られる採用情報は、そうしたキャリアパスに関わる情報量がかなりのウエイトを占めており、このあたりは一般的な日本企業の国内向け採用情報と大きく異なる点です。

事例:The Dow Chemical Company
だうけみかるs

ダウケミカルに限らず欧米諸国の企業サイトでは、働く魅力や入社後の可能性がすべて従業員や応募希望者の視点で語られているケースを多く見かけます。つまり日本企業の国内向け採用情報サイトのように「こういう人が欲しい」を言うのではなく 、ダウケミカルのA Place to Grow and Thrive(成長し、成功する場)というキャッチフレーズにある通り、「働いたらこんなやりがいが生まれるよ」というスタンスに立っていることです。

キャリアパスが一般論に留まっている、あるいはちゃんと提示されないといった点は、日本企業特有の雇用慣例としてよく指摘されています。部署間での業務量の調整や事業戦略の変更に柔軟に対応するために、将来的に行なわれる人事異動に足かせとなるような言質は取られたくないと考えるのがその理由としてあげられます。

そもそも人事戦略は企業の成長に大きく関わります。グローバル市場への進出を目的にグローバルサイトを構築する時点では、グローバル企業である必要はありません。しかし、グローバルサイトで人材採用を計画するのであれば、名実ともにグローバル企業である必要があるのです。

グローバル人材で可能性を広げませんか?

 

次回予告:周年サイトの多様な目的